被災者を襲うエコノミークラス症候群

 東日本大震災により、いわきでも多大な被害を受けました。被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 東日本大震災の被災者の健康状態が心配される中、医療者が危惧しているのがエコノミークラス症候群です。

 医学的には静脈血栓塞栓症と言い、主にふくらはぎの静脈内に血のかたまり(血栓)ができることで発症します。足のむくみや発赤、痛みなどが典型的な症状ですが、症状がまったくない場合も多いのです。血栓が血流にのって肺で詰まると呼吸困難や胸痛が見られます。飛行機での移動中に発症することがあるため、エコノミークラス症候群とも呼ばれます。しかし、発症するのは飛行機などの乗り物の中だけではありません。今回の震災のように、大勢の方が避難所などの狭い空間の中で過ごし、原発事故による放射線の影響を心配して外での運動を制限して屋内での生活が多くなり、同じ姿勢でいることと水分不足により発症リスクが高くなります。避難所生活していた方の7人に1人が発症していると言われています。

 有効な予防方法は、こまめな水分摂取と運動です。1時間おきにコップ半分くらいの水を飲むのが良いとされています。そして、こまめに手足を動かしたり、体操やストレッチなどをして体を動かすようにしましょう。血流が妨げられるので足を組まない方が望ましいです。医療用の弾性ストッキングも有効です。

 こんな時だからこそ、じっとふさぎ込んでいないで何事にも積極的に動いていきましょう!