ロコモティブシンドローム

  日本は世界にさきがけて高齢社会を迎え、平均寿命は男性で79.55歳、女性で86.30歳になっています。これに伴い、運動器の障害も増加しています。

  そこで、日本整形外科学会では、運動器の障害のために移動能力が低下し、進行すると介護が必要となる状態を表す新しい言葉として「ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)」を提唱しました。

  ロコモは筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、もしくは複数に障害が起き、歩行や日常生活に何らかの障害をきたしている状態をいいます。ロコモは、「メタボ」や「認知症」と並び、健康寿命の短縮、寝たきりや要介護状態の3大要因のひとつになっています。

  皆さんも少しずつ進行する移動能力の低下に気づかないふりをしていませんか?例えば、「片脚立ちで靴下がはけない」、「家の中でつまずいたりすべったりする」、「階段を上がるのに手すりが必要である」、「家のやや重い仕事が困難である」、「2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である」、「15分くらい続けて歩くことができない」、「横断歩道を青信号で渡りきれない」など思い当たるものがあれば、ロコモに該当します。その他にも、運動のない生活、活動量の低下、やせ過ぎと肥満、スポーツのやり過ぎやケガなどの生活習慣の問題や、痛みやだるさの放置などありませんか。

  生活習慣を見直す、運動習慣(手軽にできる片脚立ちやハーフスクワットなど)を身につける、すでに足腰などに痛みがある場合には早めに整形外科を受診するなど、適切な対処が必要です。