変形性股関節症

 主な症状は、起立・歩行時の脚のつけ根の痛みです。症状が進むと変形が生じ、股関節の動きも制限され、靴下が履きにくくなったり、足の爪切りがやりにくくなったり、和式トイレの使用が困難になります。変形がさらに進行し末期状態になると、脚のつけ根が伸びなくなり、膝頭が外を向くようになり、左右の脚の長さも違ってきます。

 患者さんの多くは女性ですが、原因は先天性股関節脱臼の後遺症や股関節の形成不全(股関節の骨盤側の受け皿が小さくて浅い)といった子供の時の病気や発育障害が主なもので、変形性股関節症全体の80%と言われています。親戚、親兄弟に先天性股関節脱臼や股関節疾患の患者さんがいる場合には、股関節の形成不全の可能性があります。

 予防としては、近親者に股関節疾患の患者さんがいる場合には、まず整形外科で診てもらう必要があります。日常生活では、体重の増加に十分注意しダイエットを心掛け、杖を使用します。運動療法としては、水中歩行や水泳などで臀部周囲の筋力増強を行います。運動療法はその他の方法もありますが、運動療法はどうしても痛みを誘発してしまう可能性がありますので、慎重に始めて徐々に強度を高めていくことがポイントです。

 治療としては、痛みが強い場合は消炎鎮痛剤の内服や外用薬が有効です。股関節の状態にもよりますが、股関節の形成術や、変形が高度な場合には人工関節の手術を行うこともあります。

 早期診断、早期治療が基本ですから、股関節が気になる方は、なるべく早めに整形外科を受診してください。