災害時の医療救護トリアージについて


東日本大震災により、いわきでも多大な被害を受けました。被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

今回の災害にあたり、医療を行う側の立場から災害時の医療救護について、少しだけお話させて頂きます。

 最近テレビなどでも時々取り上げられることのあるトリアージをご存知でしょうか?災害発生時に多数のケガ人が出た時に、緑・黄・赤・黒色のついたタッグをケガした方ひとりひとりにつけていきます。ケガの具合の緊急度をタッグの色で識別していき、治療の優先順位を決めていきます。災害時には、多少治療の時間が遅れても命の危険性がないと判断されると後回しにされます。

 これが皆さんの家族だったらどうでしょうか?医者にせっかくみてもらったのに、命には別状ないから後でと、途中で治療をきりあげられてしまったらどう思いますか?「ちゃんと最後まで治療してくれ」とか「きちんと検査していないのに絶対に命の危険性はないと言い切れるのか?」とか不満に思い、だれでも自分の家族は優先してきちんと治療してもらいたいと強く願います。しかし、災害時の限られた医療従事者の数や医薬品などの医療機能を最大限に利用して、少しでも多くの人を救うためにはある程度の優先順位決定・差別化は仕方がないのです。

 人によっては、災害時に家族にケガ人がでるとパニックになってしまい、このトリアージを理解してもらえないことがあります。是非、今回のような災害を機会に自分の家族が被災した時をイメージしておいて、心の準備をしておいてください。少しでも冷静に対処し、自分の家族だけでなく地域の皆さんがひとりでも多く救護できるようにご協力お願い致します。