外反母趾の特徴的な症状は、親指(母趾)の先が第2趾の方に「くの字」にまがり、つけ根の関節が内側に突き出した所が腫れて痛みを引き起こします。その突出部が靴に当たって炎症を起こして、ひどくなると靴を履いていなくても痛むようになります。靴の歴史の長い欧米人に多い病気でしたが、最近では日本人でも急速に増えています。
外反母趾のいちばんの原因は靴を履くことで、幅の狭いつま先が細くなった靴を履くと親指のつけ根から先が圧迫され変形します。ヒールの高い靴はつけ根にかかる力が増えてさらに変形を強くします。
10歳代に起こるものは母趾が第2趾より長かったり、生まれつき扁平足ぎみであったりすることで外反母趾になりやすい特徴があります。最も多い中年期のものは、履物に加えて肥満と筋力低下などによって起こります。関節リウマチなどの病気で起こることもあります。
予防としては、母趾のつけ根がフィットして先はゆったりとした履物を選ぶこと。足の指のすべてを開くような外反母趾体操を毎日行うこと。体重を増やさないようにし、長時間の立位・歩行は避けること。母趾と第2趾の間に装具をはめたりします。治療用装具には様々なものがあり、変形の程度や生活スタイルに応じて選んでいきます。
変形が進むと指についている筋肉も変形を助長するように働き、体操や装具では元に戻りにくくなります。痛みが強く、靴を履いての歩行がつらくなると手術が必要になります。
早期診断・早期治療が大切ですので、悩まれている方は整形外科医に相談してみてください。