65歳以上の3人に1人が転倒を経験し、半分が外傷を、10%が骨折をおこします。高齢者の転倒による骨折の基礎には骨粗鬆症があるため、軽微な転倒でも容易に骨折を起こしてしまうのです。65歳以上の寝たきりの原因として脳血管疾患(38.7%)に次いで、骨粗鬆症による骨折が第2位(13.2%)であり、転倒しないことだけでなく骨粗鬆症の治療が非常に大切なのです。
骨粗鬆症は、以前は老化現象の一つと考えられていました。しかし、骨粗鬆症の患者さんは、老化による骨量の低下よりも急激に骨量が減っていくことが明らかになっています。わが国が長寿国となり、ただ単に長生きするだけでなく、健康で豊かな老後が求められるようになって、骨粗鬆症がにわかに注目を浴びるようになりました。
骨粗鬆症とは、骨の量が減少すると同時に、骨の中の構造が変化して質が低下し、骨が弱くなり骨折しやすくなる病気のことです。特に女性は閉経期を迎えると女性ホルモンの分泌が減り、急激に骨の量が減ってしまいます。そのままにしているとやがて腰痛をおこしたり、背骨が変形して身長が縮んだり、ちょっとつまずいて手や尻もちをついただけで骨が折れてしまうようになります。
現在、骨粗鬆症患者は約1000万人以上と推定されています。女性は、男性に比べて若い年代で骨粗鬆症になりやすく、65歳以上の女性では半数近くが骨粗鬆症にかかっているともいわれています。一方、男性は80歳代後半になると約半数が骨粗鬆症であると考えられています。
骨粗鬆症は、以前は治療が困難とされていましたが、最近は有効な治療薬が開発され、骨折を防ぐ効果のある新しい薬が登場しています。
現在、骨粗鬆症の治療に関しては、骨折予防効果のある新しい薬として「ビスフォスフォネート製剤」と「選択的エストロゲン受容体作動薬」の2種類の薬があります。どちらも骨を壊す働きを抑えるお薬で、現在の骨粗鬆症の治療薬の中心となっています。
当院でも骨折予防のために積極的に骨粗鬆症の検査・治療をしております。骨折予防のためにも骨粗鬆症の検査・治療を強くお勧め致します。